90年代〜00年代にかけて数々の傑作を⽣み出したドキュメンタリー映画作家、佐藤真。彼は社会運動と映画を=(イコール)にしてきた⽇本ドキュメンタリーの系譜とは異なる独⾃のスタイルを探求した。ありきたりの「⽇常」を撮り、その中に潜むもうひとつの世界への⼊り⼝を探し、言葉にからめとられる前の世界の感触を伝えた。2007年に突然この世を去ったが、その革新的な手法と映画哲学は高く評価されており現代映画作家を始め多くの人たちに今なお影響を与え続けている。
本作に登場する7⼈のアーティストは知的障害者と呼ばれる⼈たちでもある。兵庫県⻄宮の武庫川すずかけ作業所、神奈川県平塚の⼯房絵(かい)、滋賀県信楽の信楽⻘年寮を舞台に、それぞれ独特のこだわりを⽣かして創作に取り組む彼らの活動を通し、芸術表現の根底に迫る。
京都府の南端、⼤⼭崎町に暮らす今村花⼦は、⼣⾷の残り物を素材にした「たべものアート」の作家である。このユニークなアートの発⾒者である⺟・知左は、6年に渡って花⼦の「作品」を写真に撮り続けてきた。一人のアーティスト今村花子と、彼女を取り巻く家族の物語。
パレスチナの窮状を全世界に⽰し、生涯にわたりパレスチナ問題に向き合い続けたエドワード・サイード。彼の不在をみつめ、イスラエル・アラブ双⽅の知識⼈たちの証⾔を道標にサイードが求め続けた和解と共⽣の地平を探る映画の旅。
新潟県を流れる阿賀野川。新潟⽔俣病の舞台ともなった川。川筋に住む⼈びとは愛情を込めて「阿賀」と呼ぶ。七⼈のスタッフがその川筋に住み込み、そこに住む⼈びとを三年間にわたって撮影した。 阿賀に暮らす⼈と⾵⼟をまるごとフィルムに収めた⻑編デビュー作。
『阿賀に⽣きる』から10年。映画に登場した愛すべき⼈びとの多くはこの世を去ってしまった。今は荒れ果ててしまった⽥んぼや、主を失った囲炉裏などにキャメラを向け、⼈々が残した痕跡に記憶を重ねていく。過去と現在を繊細かつ⼤胆に⾒つめた詩的ドキュメンタリー。
「もしもし、きこえますか。もしもし、きこえますか……」写真家の評伝でもない作家論でもない、ドキュメンタリー映画の新たなイメージを提⽰する衝撃の映画。孤独な命が全世界へ向けて声を発しているような⽣々しさが胸を打つ。
※2024年レストア版を渋谷ユーロスペースほか全国公開予定
『まひるのほし4K』『花子4K』『エドワード・サイード OUT OF PLACE 4K』は日本語字幕付きで上映します。また、『UDCast』方式によるバリアフリー音声ガイドに対応いたします。
なお、『エドワード・サイード OUT OF PLACE 4K』の音声ガイドでは、字幕の読み上げ音声が合わせて再生されます。字幕読み上げのみのメニューもございます。
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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宮城 | フォーラム仙台 | 022-728-7866 |
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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東京 | 目黒シネマ | 03-3491-2557 | |
東京 | 下高井戸シネマ | 03-3328-1008 | |
東京 | シネマ・チュプキ・タバタ | 03-6240-8480 | |
東京 | Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 | 03-3477-9264 | |
神奈川 | 横浜シネマリン | 045-341-3180 | |
神奈川 | シネコヤ | 0466-33-5393 | |
千葉 | キネマ旬報シアター | 04-7141-7238 | |
栃木 | 宇都宮ヒカリ座 | 028-633-4445 |
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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長野 | 上田映劇 | 0268-22-0269 | |
新潟 | シネ・ウインド | 025-243-5530 | |
愛知 | ナゴヤキネマ・ノイ | 052-734-7467 |
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
---|---|---|---|
大阪 | テアトル梅田 | 06-6440-5930 | |
京都 | 京都シネマ | 075-353-4723 | |
兵庫 | シネ・リーブル神戸 | 078-334-2126 |
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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広島 | 横川シネマ | 082-231-1001 | |
山口 | 山口情報芸術センターYCAM | 083-901-2222 | 12月4日(水)~15日(日) |
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
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福岡 | KBCシネマ | 092-751-4268 | |
福岡 | 福岡市総合図書館映像ホール・シネラ | 092-852-0600 | 2025年1月8日(水)~1月19日(日) |
鹿児島 | ガーデンズシネマ | 099-222-8746 |
コメント
エドワード・サイードの「不在」の風景のなかを、ゆったりと美しいカメラが、いつまでも追ってゆく。パレスチナ、イスラエルの苦しみのひだひだが照射される。人々の色濃い思い出を横切るサイード。そしてサイードの「希望」が私らの頭上に現われる。
――『エドワード・サイード OUT OF PLACE』より
大江健三郎(作家)
佐藤真の映画ではカメラが人物の前に回ることが多い。対立でもなく、対峙でもなく、被写体の前で立ちすくむカメラ。そんな印象を受ける。答えのない過酷な生を、人々の声が和らげる。佐藤真はインタビューすることを恐れない。インタビューの一つ一つが説明に堕することがないのは、人の声自体を「できごと」として捉える感性ゆえだろう。一度お会いしたかった。
濱口竜介(映画監督)
生きていると佐藤真監督の映画のことを不意に思い出す。阿賀の景色、花子の笑顔、パレスチナの難民たち。それら映像の記憶の断片はノスタルジーから遠く現在と生々しく接続している。
深田晃司(映画監督)
なぜそう撮ったのか。なぜそう繋いだのか。なにを撮らずにいたのか。なにを撮れなかったのか。あるショットから次のショットへ、そのすべての変化が、新たな発見として、新たな応答として、そして新たな問いとして迫ってくるように受け止めています。自分なりに考えてきたつもりでも、いままた見直すと、まだまだぜんぜん受け止められていないことに気づき、新たな問いばかり見つかります。レトロスペクティヴの開催を嬉しく思っています。
三宅唱(映画監督)